精神的なストレスや強いショックなどが原因で発症するうつ病。
うつ病になると、何に対してもやる気が起こらなくなったり、物事に対して興味が持てなくなったり、毎日のように1日中体にだるさを感じたりなど、様々な症状によって日常生活に支障をきたします。
一方で、セロトニンは神経伝達物質の1つで、主に「睡眠」や「精神の安定」に関わりがあります。そして、「セロトニン不足が原因でうつ病になる」と言われております。
果たして、本当にセロトニン不足はうつ病の原因なのでしょうか・・・
本記事では、うつ病とセロトニンの関係について調べたことをまとめますので、「本当にセロトニン不足でうつ病になるのか?」という問題を一緒に考えていきましょう!
セロトニンの役割
セロトニンは、ノルアドレナリンとドーパミンと並んで、三大神経伝達物質と言われております(※)。
※セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどを総称して「モノアミン」と言います。
ノルアドレナリンは快感や喜びなどの感情と関係があり、、ドーパミンは不安や恐怖、怒りなどの感情と関係があります。そして、セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの働きを制御する働きがあります。
たとえば、ドーパミンが過剰に分泌されると、不安や怒りに敏感になりますが、それをセロトニンがいい具合にコントロールします。
つまり、三大神経伝達物質の中で、セロトニンはブレーキ役を担っているということです。
このことから、セロトニンには「精神的な安定をもたらす」や「睡眠の質の向上させる」効果があると言われております。
神経伝達物質の働きが鈍化することでうつ病になる!?
1950年代、「モノアミン仮説」と言われる仮説が提唱されました。
モノアミン仮説は、神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンのどれかが不足するとうつ病を発症するという仮説です。
つまり、モノアミン仮説はうつ病はモノアミンの低下が原因であるという仮説です。
セロトニン不足が原因でうつ病になると言われるのはこのためです。
実際、抗うつ剤はセロトニン仮説に基づいて作られており、現在でもうつ病治療の根本となっている仮説であります。
ただ、うつ病のすべてを説明できる仮説ではなく、モノアミン仮説は不十分な仮説であるとも言われております。
加えて、うつ病は様々な要因が重なって発症すると考えられており、その明確な原因はまだ完全に解明されておりません。モノアミン仮説はうつ病の原因の1つとしてあげられますが、モノアミンの低下がうつ病のすべての原因ではないというのが現在の位置付けだそうです。
セロトニン不足でうつ病になるって嘘?本当?
ここまで、セロトニンの役割やモノアミン仮説について見てきましたが、結局、うつ病とセロトニンは関係あるのでしょうか・・・?
個人的な見解としては、うつ病とセロトニンは密接な関係がありますが、セロトニン不足で必ずうつ病になるというわけではないというのが答えだと思います。
うつ病の時、精神が乱れている状態であり、精神の安定をもたらすセロトニンとは深い関係があるのは確かだと言えます。
ただ、セロトニンを増やす抗うつ剤で必ずうつ病が治るわけではなく、セロトニン不足はうつ病の原因の1つにはなるかもしれませんが、それがうつ病のすべての原因とは言えないと思います。実際、抗うつ剤が効かない患者さんもおられるそうです。
なので、セロトニンを増やすことでうつ病の予防や改善に効果がある場合もあれば、効果がない場合もあると考えられます。
このことから、うつ病とセロトニンは深い関わりがあるが、セロトニンでうつ病のすべてを説明できるものではというのが、私の考えとなります。
あくまで個人的な見解でありますので、ここまで書いたことを参考にして頂き、ぜひ皆さんも「本当にセロトニン不足でうつ病になるのか?」という問題に対しする答えを考えてみてください^^