「旅行に行って気分転換でもしてきなよ!」
うつ病の時にこのような言葉をかけられることも少なくはないと思います。
ただ、周りから見ると、うつ病は精神的なものだから旅行で気晴らしすれば改善につながると思いがちですが、本当にそうなのでしょうか・・・
「旅行=環境の変化」はストレスになる!?
旅行は、普段の住み慣れた場所を離れて新しい地に踏み入れるということでもありますので、環境の変化が伴います。
確かに日常生活の環境から離れて新しい環境に身を置くことで、気持ちがリフレッシュされる可能性があります。
その一方で、環境の変化というのは、自分が気付かないうつにストレスがかかります。たとえば、転勤や転職、引っ越しなど、環境の変化が伴う節目には精神的にストレスがかかると言われております。
また、ストレスには、良いストレス(eustress)と悪いストレス(distress)の二種類があり、旅行における環境の変化が、良いストレスをもたらすか、悪いストレスをもたらすかは人それぞれ。良いストレスや悪いストレスどちらにしろ、ストレスがかかるというのはストレスに耐えるだけのエネルギーが必要です。
うつ病の療養に必要なのはエネルギーの補充
うつ病の時はいわゆる「心が非常に疲れている状態」です。
心が疲れている状態というのはエネルギー不足という意味でもあり、うつ病の改善するためには、元気に行動できるだけのエネルギーを蓄える必要となります。
仕事を休職して自宅療養を行ったり、入院をするのは体や心にエネルギーを取り戻すためなのです。
旅行によってうつ病が悪化する可能性がある
先ほど、旅行にはエネルギーが必要であることをお伝えしましたが、うつ病によってエネルギーのない体で旅行に行くと症状が悪化してしまう可能性があるということは容易に想像できるのではないでしょうか。
また、うつ病の時は、何もヤル気が起きなかったり、物事に興味が湧かなかったり、頭がぼーっとしたり、マイナスな考えに陥っている状態であり、そういった時に旅行に行ってうつ病とは別に怪我や病気にかかってしまう可能性も高まってしまいます。
特に疲れやすい旅行は逆効果になりやすいので気を付けましょう。
エネルギーが補充できたら旅行でリフレッシュするのも良し!?
ここまで、うつ病の時の旅行に否定的なことを書いてきましたが、旅行が必ずしもうつ病に良くないと言っているわけではありません。
旅行をすることで意欲が向上したり、幸福感が生まれたり、心がリフレッシュしたりと、精神的に良い効果が期待できるので、うつ病の症状から見ても効果的な治療法であるともいえます。
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実際、旅行がうつ病の悪化をもたらすか、それとも改善につながるかどうかは意見が分かれているようです。
ただ1つ言えることは、うつ病の時はエネルギーが不足している時なので、自宅療養でしっかりとエネルギーを蓄えた後に旅行に臨む方が、症状の悪化のリスクを少なくできるということです。
また、気分転換したいからといって観光のために色々と歩き回るのではなく、電車やバスに乗る時間やホテルでのんびり過ごす時間を多く取って、ゆとりのある旅行を目指しましょう。