今や珍しくなくなってきた「不安障害 」や「気分障害」、そして「うつ病」。精神疾患が休職や療養を止むを得ずしている人も少なくありません。
うつ病などの精神疾患で休職をした場合、自宅療養によって精神的な回復をする必要がありますが、家にずっと引きこもると、生活習慣が乱れてストレスが溜まったり、「先が全く見えない・・・不安・・・」「自分なんて・・・」といったように自分を追い詰めてしまったりと、療養をするどころか、かえって精神的に辛くなってしまうことがあります。
かといって、休職中なのに外出して遊んだり、旅行に行くのは気が引けますし、そもそも休職中に旅行へ行って良いものなのでしょうか・・・?
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基本的には休職中に旅行へ行っても問題なし!
旅行に行ってストレスを発散することして体調を整えるのは、うつ病の治療の1つです。
体調の回復を目的として休職をしており、休職中の過ごし方を特に指定されているわけでないので、治療の一環である旅行は特別問題があるわけではありません。
ただ、こうはいっても精神的な病気であるにも関わらず旅行に行くのは、やはり気が引けますよね^^;
それでは、労働問題の観点に目を向けて考えてみましょう。
「休職中に海外旅行に行った時、会社は注意できるのか、何かしらの処分を下せるか」という問題に対して、法律的には以下のような回答になるようです。
海外旅行に行ったことを理由に、会社が社員に懲戒処分や解雇処分を下すことは難しいです。
そもそも、私傷病休職制度は、私傷病により働くことが困難な社員の解雇を猶予する恩恵的な制度で、当該社員が健康を取り戻し、復職することを目的にもうけられています。とすると、この制度を利用して休職した社員は、当然治療に専念すべきで、海外旅行に行くなどもってのほか、と思われるかもしれません。そのうえ、この社員が休職することで、同僚の社員の負担が増している場合、休職中に海外旅行を満喫していることが知れ渡れば、当然同僚の社員が不満を抱き、反感をもつことにつながります。しかし、海外旅行や競馬それ自体が、倫理に違反する行為とまではいえません。また、治療のために家に一日引きこもっているより、外に出かける機会を持ったほうが、うつ病からの回復に良い場合も考えられなくはありません。このような事情から、うつ病で休職中の社員が海外旅行や競馬に行ったとしても、それをもとに懲戒処分や解雇処分を下すことは困難です。
このようなことからも、うつ病などの精神疾患で休職をしている場合でも、旅行をしても問題がないと考えられるでしょう。
旅行はうつ病の改善にも役立つ!?
うつ病の時、何に対してもヤル気が起きない、頭がボーッとする、物事に対して興味が持てない、マイナスな考え方に偏るなど、様々な心理的な症状が現れます。
旅行に行くことで、失われたヤル気が取り戻せたり、意欲が高まったり、心がリフレッシュされたり、幸福感が生まれたりして、うつ病の改善に役立つことが多いにあります。
実際、日常生活で住み慣れた土地から離れて、新しい環境に身を置く「転地療養」という治療法もあることから、旅行はメンタル健康法とも考えられるのです。
→旅行がもたらす精神的な健康効果について詳しく知りたい方はこちらへ
旅行に行く際の注意点
休職中の旅行を同僚や会社に知られないようにしよう!
うつ病などの精神疾患が身近になったとはいえ、未だ周りの人達の理解が得づらいのが現状です。「精神的な問題を理由にして遊んでいるのでは?」「そんな元気があるなら仕事に復帰できるのでは?」と心ないことを思う人も少なくないでしょう。
休職中に旅行に行っても問題はありませんが、余計な誤解を生まないためにも同僚や会社には知られないようにする方が賢明でしょう。特にSNSでの拡散は、今後の同僚や会社との関係を悪化させてしまう可能性が高いので、情報は自分の中だけで止めておきましょう。
体調の悪化には気をつけよう!
繰り返しになりますが、休職をしているのは、体調の回復を目的としております。旅行で遠出をして、逆に心身へ負担をかけて体調が悪化してしまうのは本末転倒です。
特に、休職前は働きづめで体力を消耗している状態なので、休職してからすぐに旅行に行くのは控えた方が良いでしょう。
自宅でしっかりと休養をとって、体調を整え体力を溜めてから旅行に行きましょう。
旅行先で怪我を負わないように!
旅行で体調を悪化させてないように注意するのはもちろん、旅行先で怪我を負わないように注意する必要があります。
休職中に、うつ病とは別の怪我を負ってしまうと、休職期間満了日までに本来の病気や怪我が完治できなくなる場合が可能性があります。それこそ、うつ病は完治したのに、旅行で負った怪我が完治していないといった状況は、自分と会社ともに嬉しくありません。
また、休職期間満了日までに完治できていない場合、すぐに退職させられる場合もありますので、体調の悪化に加えて旅行先の怪我には細心の注意を払いましょう。